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永久保有銘柄のデータ更新 と 雑感

Twitterでは既にツイートしましたが、拙著で紹介した永久保有銘柄のデータをアップデートしました。


Twitterでも見やすいようにと少し工夫をしてみたりしましたが、エクセルベースで作成しスクロールなしで視認でき、17銘柄かつ役立つ情報を網羅するとなると、このサイズが限界かなとも思います。ただ、スマホで表示された時に画像をクリックしなくても確認できる状態にはないため、もう少し項目を絞り情報量を厳選するなど、さらなる工夫はできないか考えています。



永久保有銘柄 データ更新20220827


内容的にはさほどの変更はありませんが、JTの優待が22年までと表記したのと、ブリヂストンを世界一から世界首位級へ変更しています。純利益ではブリヂストンが圧倒してるものの、最新のシェアではミシュランにわずかに及ばず、シェアベースで2位となったため首位級という表記にしました。


過去5年間をベースにしたPER・PBRレンジでは業績が回復しつつも株価が低迷しているJTがレンジを切り下げています。つまり割安になった時期があったことを意味します。総合商社は株価上昇でレンジを切り上げています。また、少し前に株価が上昇したNTT、KDDIはレンジを切り上げ、ここのところ株価上昇の著しい東京海上はPBRレンジの上限が拡大しています。このあたりを拙著で掲載したデータと見比べながら変遷を確認していくことで、銘柄に対しての理解も深まりますし、投資技術の向上にも寄与してくれます。情報とは最新のものが最も価値があるというわけではなく、過去と比較することで、付加価値が生まれます。


将来の見通しに対して明るい人が増えると人気がでて株価が上昇し、PERやPBRも上昇します。最近の総合商社や通信がこの傾向にあります。逆に、将来の見通しに対して暗い人が増えると人気がなくなり株価も下落して、PERやPBRは下がります。最近までのJTがこの傾向にあります。


株価が上昇して人気があり、PERが高くなっている時に買うのは安心感があるかもしれません。多くの人が買っているため株価が上昇しており、人間というものはまわりと同じことをしていれば妙な安心感が芽生えてくるためです。しかし、投資家としては、人気がない時に安く買わなくてはリターンが小さくなることを知っておく知っておく必要があります。シーゲル博士は『株式投資の未来』で次のように記載しています。


株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる。


つまりは、人気のない(PERの低い)銘柄を選択肢して、人気のない(PERの高い)銘柄には手を出さないことが、長期的なリターンにつながるという主張です。投資判断の際には、株価が上昇しすぎていないかに気を配りながら検討していく必要があると考えます。



以下、雑感


〇 NYダウとナスダックの下落と日経平均先物について
FRBのパウエル議長がインフレ抑制のために利上げ継続を表明したことで、NYダウが1008ドル(-3.03%)、ナスダックが497ポイント(-3.9%)の下落となりました。その影響を受けてか、日経平均先物も500円強の下落となっています。


日経平均株価は直近安値を付けたのが、6月20日でその時の株価は25,520円、現在の株価は28,641円と2カ月で3,000円強も上昇していました。急ピッチで上昇してきており、現在の株価ではバリュエーション的に買える銘柄が少なくなってきているというのは肌感覚としてありました。日経平均株価の先物は下がっていますが、わずか2カ月前の株価と比較すれば、まだまだ高い水準にあります。もちろん、中間決算での業績上方修正ラッシュを織り込んでいるとは思いますが、現時点での指標からは少し高いなと感じている銘柄も少なくありません。


今後、中間決算が発表されて、現在の株価でも投資指標的に適正あるいは割安と判断ができるまでは、株価が下げても驚きませんし、大きく下げるようであれば買い増しのチャンスかなとも考えます。個々の銘柄によって判断は分かれるところですが、相場全体としてみれば、短期的には警戒、中間決算が想定通りに好決算連発であれば現在の株価水準でも問題なし、長期的には何ら問題なし、という感覚をもっています。



〇 投資家として考える行動について
いつの時代でも、そしてどんな相場でも、投資家が真っ先に考えなくてはいけないことがあります。それは相場で生き残ること」です。株式の長期的なリターンは歴史が証明していますし議論の余地はありません。ただし、相場というものは上がったり下がったりしながら長期的には株式というアセットクラスの期待リターンである6~7%程度へ収束していきます。短期的にはリーマンショックのように短期的に60%もの下落に直面することを余儀なくされるケースも起こり得ます。


そのような暴落相場を乗り越えて、株式投資を続けていくことで期待リターン享受し資産形成を進めることができるのです。株価上昇局面では特に不安になることもなく、投資を続けていくことができます。下落局面では投資を続けていくことへの不安と実際に損失が拡大していくのを目の当たりにするため、精神的な負荷は想像以上となります。投資を続けていくのがベストとは言いますが、実際に行動するのは想像している以上に難しいということは知っておく必要があるでしょう。


その上で、下落相場でもこれまで通りの投資を続けることが大切であると、あらためて伝えておきたいと思います。株は安く買うことで将来のリターンが大きくなります。つまり、下落局面でこれまで通りの投資を続けることは、株を安く買い将来の期待リターンを拡大させることと同義なのです。



〇 拙著について
 拙著では、高配当投資と銘打っていますが、その内容は、投資初心者がどのようにすれば株式市場から退場させられずに、株式投資を続けていくことができるかという点にフォーカスされています。そのために具体的に何をすればいいのかも執筆しています。再現性も高い、というよりは具体的に手順が書いてあるので、だれにでも真似できます。


拙著については多くの読者からご感想をいただいておりますが、先日「今年3月の株価下落局面では何度も読み返して株式投資をやめずに続けることができた」という嬉しい感想をいただきました。2月2日に拙著を発売して、3月に日経平均が25,000円を割るという下落局面を迎えた時には、下落前に発売できて間に合ったという想いがありましたが、実際に投資初心者の心の支えとなったというご感想は有り難く、また大変嬉しく思います。


今後どのような相場となるかは誰にも分かりません。場合によっては暴落するという展開もあるかもしれません。しかし、拙著がその真価を発揮するのは暴落時にあります。読者の皆さんは既に暴落はチャンスであることを知っています。何ら恐れることなく粛々と投資を続けていけば事足りるでしょう。


幸いにも読者のご支持を得ることができ、拙著は6刷、4万部突破となりました。これだけ多くの方にお読みいただくことができ、次の暴落時には退場させられる個人投資家は確実に減る、そう確信します。


小生の投資手法や考え方を多くの方に知っていただくことができたのは、ひとえにフォロワーの皆さんのおかげです。あらためて感謝申し上げます。

本当にありがとうございます。



ブログで記載しきれないこともつぶやいていますので、興味のある方はフォローいただければ幸いです。

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コメント

nisaについて

はじめまして。
ご著書を拝読しました。売買を中心にした取引を扱った書籍しか読んだことがなかったので大変参考になりました。
質問ですが、先生は、ネオモバで投資をされているとのことですが、nisaでの取引はされないのでしょうか?また、nisaでの取引をされていない場合はその理由も教えてください。
よろしくお願いします。

Re: nisaについて

拙著をお読みいただき、ありがとうございます。また過分な評価に恐縮いたします。

さて、ご質問の点についてですが、NISA枠は昨年から、つみたてNISAでオールカントリーを買っております。それ以前は個別株を買っておりました。

どうぞよろしくお願いいたします。

早速お答え頂きありがとうございました。
また、よろしくお願いします。

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株式投資の未来

投資で一番大切な20の教え

千年投資の公理

バビロンの大富豪

投資の本ではありませんが、資産形成のエッセンスが詰まっており、万人にとって有益な本だと思います。特に株式投資をするに当たって種銭を貯めたい人は必読の書と言ってもいいかもしれません。要点は、「黄金の七つの知恵」と「五つの黄金法則」からなります。黄金の七つの知恵第一の知恵→財布を太らせることから始めよう。第二の知恵→自分の欲求と必要経費とを混同するべからず。第三の知恵→貯めた資金は寝かさずに増やすべき。第四の知恵→損失という災難から貴重な財産を死守すべき。第五の知恵→自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ。第六の知恵→将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし。第七の知恵→明確な目的に向かって自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心をもって行動すべし。五つの黄金法則。一、将来の資産と家計の財産を築くため、最低でも収入の十分の一を貯めるならば、黄金は自ら進んで、しかもだんだんとその量を増やしながらやってくるだろう。 二、貯まった黄金がさらなる利益を生むような働き口を見つけてやり、家畜の群れのごとく増やせる賢明な主人となるならば、黄金は勤勉に働いてくれるだろう。三、黄金の扱いに長けた人々の忠告のもとに黄金を投資するような慎重な主人であれば、黄金はその保護のもとから逃げはしないだろう。四、自分のよく知らない商売や目的、あるいは黄金を守ることに長けた人々が認めないような商売や目的に使われる黄金は、その人間から逃げてゆくだろう。五、あり得ないような莫大な利益を生ませようとしたり、詐欺師の魅惑的な誘いに従ったり、あるいは自らの未熟で非現実的な欲望に頼ったりするような人間からは、黄金は逃げてゆくことだろう。ポイントは所得の十分の一を貯蓄にまわして、熟慮をもって投資をおこなうということかと思います。資産形成に近道はありませんが、堅実な生活と着実な投資により、一歩ずつゴールに近づくことができると考えています。

敗者のゲーム

全体をとおして株式市場は自分だけが大勝ちできるという都合のいいものではないこと、長期投資の重要性を説いています。長期投資家にとって必読の一冊であることはもちろんですが、これから株を始めようとする人こそ本書をとおし見識を深めていただいて、市場の餌食になることを避けてもらいたいと思います。「 時代は変わった。しかし、「マーケットに勝つ」ための古い手法は効かなくなったが、新しいアプローチがある。それは、日々のポートフォリオ業務よりも、明確な長期投資政策を重視することである。高いリターンを得るには、ある程度、市場水準以上のリスクを取らねばならない。株式投資をするということである。ポートフォリオの最適な資産ミックスは、自分の置かれた経済的・精神的条件の下で、長期間維持できる最大の株式を組み込むことである。マーケットは短期的には大きく変動するが、長期的な変動は緩やかである。このことを理解しておけば、多少の変動にはびくつかないですみ、あくまでも長期的な投資目的達成に専念できる。要は、投資家にとって最大の武器である「時間」を十二分に活用することである。株価がある程度下がるのは、日常茶飯事のことと割り切った方がよい。マーケットは日々変動する。また、インフレによって資産価値も少しずつ減り続ける。しかし重要なのは「大きく負けないこと」である。「問題自体の中身を十分に把握できれば、解決策は自ずとついてくる」とはよく言われるところだ。ただそれ以上に、難しい問題の解決策はしばしば、「問題の設定自体を考え直す」ことから生まれる。そうした観点から、私の努力は、市場に勝とうという虚しい努力を続ける「敗者のゲーム」から、長期資産配分と運用基本政策の確立・堅持という「勝者のゲーム」へと移っていった。」

ウォール街のランダム・ウォーカー

株式投資の基本的なことから、応用までこの一冊で網羅されています。行動ファイナンスや効率的市場仮説という言葉を知ったのもこの本がきっかけでした。株価は短期的には需給に、長期的にはバリュエーションにさや寄せされていくと考えていますが、株式に対しての考え方の土台を作ってくれる本かと思います。

テンプルトン卿の流儀

「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のなかで消えてゆく。悲観の極みは最高の買い時であり、楽観の極みは最高の売り時である」相場格言として有名なこの言葉はジョン・テンプルトン卿のものです。

新賢明なる投資家

何よりもまず、防衛的投資家なら、インデックスファンドをコア(核)としていったん恒久的な自動売買システムでポートフォリオを組んでしまえば、市場に関するどんな質問にも、「知らないよ。そんなことどうでもいいさ」と、最も力強く答えることができるはずだ。債権は株よりも高いパフォーマンスを上げるだろうかと尋ねられても、「知らないよ。そんなことどうでもいいさ」と答えればいいのだ-何しろ、あなたはその両方を自動売買しているのだから。ヘルスケア株のせいでハイテク株はさえなくなるだろうか?「知らないよ。そんなことどうでもいいさ」-あなたはその両方を恒久的に保有しているのだから。第二のマイクロソフトは?「知らないよ。そんなのどうでもいいさ」-十分に成長して保有できるようになればインデックスファンドが保有してくれるので、それについて行けばいいのだから。来年は外国株が米国株に勝つだろうか?「知らないよ。そんなことどうでもいいさ」-もし勝てばその儲けを手にできるし、もし負けてもさらに安値で買い増すことができるのだから。自動売買システムに乗せたポートフォリオを組めば、「知らないよ。そんなことどうでもいいさ」と言うことができるし、金融市場の今後の心配-そして他人の妄想-からも解放される。将来のことをいかに知らないかを知ることに加え、自分の無知を受け入れることが防衛的投資家の最強の武器なのである。

拙著『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』

プロフィール

長期株式投資

Author:長期株式投資
1977年生まれ。『オートモードで月に18・5万円が入ってくる「高配当」株投資』の著者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2023年3月末に会社を退職。投資教育をライフワークに。

『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資』2023年5月31日発売

「長期株式投資による資産形成教室」をオンラインで運営中↓
https://lounge.dmm.com/detail/6056/index/


2004年より株式投資を始める。
2010年にジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」と出会い、日本株での配当再投資を投資戦略とする。
1級FP技能士。
TOEIC940点。
空手二段。剣道初段。

税引き後手取り配当金の推移
2004年 スタート
2008年  16万円
2009年  22万円
2010年  37万円(ここから当ブログで記録あり)
2011年  45万円
2012年  52万円
2013年  63万円
2014年  78万円
2015年  83万円
2016年 102万円
2017年 121万円
2018年 150万円
2019年 180万円
2020年 201万円
2021年 223万円
2022年 282万円

メディア実績
東洋経済オンライン
2022年3月9日/2022年3月16日
MONEY PLUS
2022年3月16日/2022年3月17日/2022年3月18日
PRESIDENT Online
2022年3月27日/2022年3月28日
トウシル
2022年5月4日
週刊東洋経済
2022年6月18日号
週刊SPA!
2022年6/21・28合併号
会社四季報オンライン
2022年6月17日
ZUU online
2022年7月8日~同年7月14日(7日連続掲載)
THE21
2022年9月号
日本経済新聞(電子版)
2022年8月19日
日経マネー
2022年10月号
日本経済新聞(電子版)
2022年9月3日
マネックス証券(マネクリ)
2022年9月8日/2022年9月9日
プレジデントオンライン
2022年9月28日
ビブロ
2022年10月24日
みんなのマネ活
2022年10月25日
日本経済新聞
2023年3月25日
みんかぶ
2023年4月8日
PRESIDENT
2023.5.19号
みんかぶ
2023年5月20日

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